入社承諾書をとりあえずで出すのはあり？迷ったときの考え方

内定をもらった後の入社承諾書は、いつ出すか迷いますよね。

他にも選考が進んでいる企業があったら選択肢を狭めてしまうし、まだ決心がついていないという気持ちもよくわかります。

できることなら、もう少し考える時間が欲しいですよね。

実際のところ、入社承諾書の提出は適切なタイミングで出す必要があります。

就職活動における重要な意思決定になるため、「とりあえず」で出してはいけません。

そこで今回は、「入社承諾書を出すときの考え方」について解説します。

入社承諾書を出すか迷っている人は、後悔のない選択をしてください。

入社承諾書とは

入社承諾書は、企業から内定を受けた後に、その内定を正式に受け入れる意思を示す書類です。

企業側からすれば採用計画を確定させるための重要な書類であり、応募者側にとっては就職先を確定させる意味を持ちます。

一般的には企業から提供されるフォーマットに必要事項を記入し、署名・捺印して提出します。

内容は入社の意思表示、入社予定日の確認、条件の承諾などが含まれることが多く、法的には「契約書」としての性質を持つため、提出後は一方的にキャンセルすることが難しい場合もあります。

新卒採用では年度末から入社直前までの間に提出を求められることが一般的ですが、企業ごとに提出期限や形式は異なります。

入社承諾書と内定承諾書の違い

入社承諾書と内定承諾書は似た性質を持ちますが、提出するタイミングと意味合いに違いがあります。

内定承諾書は、企業から内定を受けた直後にその内定を受け入れる意思を示すためのもので、通常は内定通知と同時に送られてきます。

一方、入社承諾書は入社日が近づいてきた段階で、実際に入社することを最終的に確約するための書類です。

企業によっては両方の書類を提出させるケースと、どちらか一方だけを求めるケースがあります。

内定承諾書は内定の保留期間を短くする目的もあり、入社承諾書はより法的拘束力を持つ傾向にあります。

就活生としては、内定承諾書は内定の意思表示、入社承諾書は最終的な入社の確約と理解しておくとよいでしょう。

入社承諾書提出のタイミングと考え方

入社承諾書の提出は単なる書類手続きではなく、就職活動における重要な意思決定のひとつです。

いつ提出すべきか、提出前に何を考慮すべきかを理解し、自分のキャリアスタートに向けて慎重かつ適切に対応しましょう。

入社日が決まったタイミングで提出

入社承諾書は入社日が正式に決定したタイミングで提出するのが基本です。

早すぎる提出は他の選択肢を狭めてしまう可能性があり、遅すぎると企業側に不信感を与えかねません。

たとえば、3月入社の場合は、少なくとも1〜2ヶ月前には提出するのが一般的です。

この期間は企業側が人事計画を立てる上で重要な時期になるため、入社日が決まり次第、速やかに対応するようにしましょう。

企業からの提出期限を確認

入社承諾書には必ず企業側から指定された提出期限があります。

この期限を守ることは、社会人としての基本的なマナーであり、第一印象を左右する重要なポイントです。

たとえば、「入社承諾書の提出期限について確認したいのですが」と採用担当者にメールや電話で問い合わせることで、コミュニケーション能力の高さも示すことができます。

期限が迫っている場合は、できるだけ早く対応するようにしましょう。

辞退のリスクを十分に考慮する

入社承諾書を提出する前に、その企業に本当に入社したいのか、十分に検討することが重要です。

承諾書提出後の辞退は、企業側の採用計画に大きな影響を与え、候補者自身の評判にも関わる問題となります。

たとえば、入社承諾書を提出した後に辞退すると、その企業との関係性が悪化するだけでなく、業界内での信頼性にも傷がつく可能性があります。

特に同じ業界内で転職を考えている場合は、この点を重視して慎重に判断しましょう。

他のオファーと調整する

複数の企業から内定をもらっている場合は、入社承諾書を提出する前に、すべてのオファーを比較検討してください。

優先順位を明確にして、計画的に対応することで後悔のない選択ができます。

具体的には、給与や福利厚生といった条件面の比較表を作成したり、それぞれの企業での将来的なキャリアパスを想定したりすることが役立ちます。

また、可能であれば先輩社員や業界の知人にアドバイスを求めることで、より客観的に判断することができるでしょう。

提出後の変更が難しいことを理解する

入社承諾書は法的な拘束力を持つ文書であり、一度提出すると原則として変更や撤回は難しくなります。

これは単なる意思表示ではなく、雇用契約の一部を構成する重要な書類だからです。

たとえば、入社承諾書を提出した後に別の魅力的なオファーが来ても、既に提出した承諾書を撤回することは倫理的に難しくなります。

そのため、他社の選考が進行中の場合は、できるだけ結果が出揃うまで提出を保留するか、採用担当者に状況を正直に相談しましょう。

好印象を与える入社承諾書の書き方

入社承諾書は単なる手続き書類ではなく、あなたの社会人としての第一歩を示す重要な書類です。

ここでは、企業に良い印象を与え、プロフェッショナルな姿勢を示すための書き方のポイントを紹介します。

敬語と丁寧な表現を使う

入社承諾書では、適切な敬語と丁寧な表現を使用することが非常に重要です。

ビジネス文書としての基本的なマナーを守ることで、社会人としての基本的な素養があることを示すことができます。

特に「御社」「貴社」などの尊敬語や「拝啓」「敬具」などの頭語・結語を適切に使用してください。

たとえば、「株式会社〇〇御中」という宛名の書き方や、本文中で「貴社からのご内定を賜り」といった表現を使うことで、相手を敬う姿勢が伝わります。

敬語の使い方に自信がない場合は、敬語の基本ルールを確認しておくと安心です。

感謝の気持ちをしっかり伝える

入社承諾書には、内定をいただいたことへの感謝の気持ちを明確に表現することが大切です。

選考過程でお世話になった方々への謝意を示すことで、謙虚さと誠実さをアピールできます。

具体的には、「このたびは貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます」といった一般的な表現に加えて、「選考過程で〇〇について学ばせていただいたことも大変貴重な経験でした」など、自分なりの感謝を付け加えると印象に残ります。

入社承諾書を提出する際は、感謝の気持ちが伝わる文章を心がけましょう。

簡潔で明確な内容を心がける

入社承諾書は、簡潔で明確な内容にすることが重要です。

要点を明確に伝え、読み手が理解しやすい文章構成を心がけてください。

たとえば、「貴社からいただいた内定を承諾し、2025年4月1日より入社させていただきたく存じます」といった表現を使うことで、意思表示が伝わります。

また、箇条書きや段落分けを適切に行うことで、読みやすさが向上し、誠実な印象を与えることができるでしょう。

誤字脱字に注意する

入社承諾書に誤字脱字があると、注意力不足や細部への配慮が足りないという印象を与えかねません。

特に企業名や自分の名前、日付などの基本情報は絶対に間違えないよう注意が必要です。

具体的には、書き終えた後に一度時間を置いてから再度読み直す、家族や友人に確認してもらう、音読して確認するなどの方法が効果的です。

パソコンで作成する場合でも、自動修正によるミスがあるため、自分の目で確認するようにしましょう。

入社後の意気込みを伝える

入社承諾書の締めくくりには、入社後の意気込みや抱負を簡潔に記載することで、前向きな姿勢と熱意をアピールできます。

具体的な目標や貢献したい分野について触れることで、採用担当者に良い印象を残せるからです。

たとえば、「入社後は、大学で学んだマーケティングの知識を活かしながら、新しい技術やスキルも積極的に吸収し、御社の発展に貢献できるよう精一杯努力いたします」といった、具体的かつ現実的な意気込みを伝えると効果的です。

自分の強みと企業のニーズを結びつけた内容にすると、より説得力が増すでしょう。

入社承諾書をとりあえず出す際の注意点

就活中に複数の選考を並行して進めている場合、「とりあえず」入社承諾書を出すという選択肢も考えるかもしれません。

しかし、この判断は慎重に行う必要があります。

ここでは、入社承諾書を提出する際に押さえておくべき重要なポイントを解説します。

提出のタイミングを見極める

入社承諾書の提出タイミングは非常に重要です。

焦って提出すると後悔する可能性もあるため、慎重に見極めなければいけません。

たとえば、他社の最終面接が1週間後に控えているのに、今週中に入社承諾書の提出を求められた場合は、採用担当者に状況を伝え、猶予をいただけないか相談してみることも一つの方法です。

多くの企業は誠実な対応を評価してくれますし、柔軟に対応してくれることも少なくないでしょう。

提出後の変更が難しいことを理解する

入社承諾書は単なる意向表明ではなく、法的な拘束力を持つ書類です。

一度提出すると、原則として撤回や変更は難しくなります。

具体的には、入社承諾書を提出した後に辞退すると、企業の採用計画に大きな影響を与え、最悪の場合、法的な問題に発展する可能性もあります。

また、業界内での評判にも関わる問題となり、将来的なキャリアにも影響する可能性もあるため、「とりあえず」出すという判断は避けた方が良いでしょう。

指定された提出期限を守る

企業が指定した提出期限は必ず守るようにしてください。

期限を守ることは、社会人としての基本的な責任感を示す重要な要素です。

たとえば、郵送で提出する場合は投函から到着までの日数を考慮し、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。

また、電子メールでの提出の場合でも、添付ファイルの不備や送信エラーなどのトラブルを想定して、締切日の前日までには送信しましょう。

書類を確認してから提出

入社承諾書を提出する前に、記入内容や必要書類の不備がないか、しっかりと確認することが重要です。

特に氏名、住所、電話番号などの個人情報や、入社予定日などの重要事項は間違いがないようにチェックしてください。

具体的には、チェックリストを作成して一項目ずつ確認する方法が効果的です。

また、印鑑や署名が必要な場合は忘れずに押印・署名し、コピーを取っておくことで、万が一の際にも対応できます。

提出前の最終確認として、別の視点から家族や友人に見てもらっても良いでしょう。

必ず納得してから提出する

実際のところ、「とりあえず」提出するという考え方は危険です。

入社承諾書は、その企業で働くことを正式に約束する重要な書類であり、納得した上で提出すべきだからです。

たとえば、給与や勤務条件に不明点がある場合は、事前に採用担当者に質問して解消しておくようにしてください。

疑問があっても見過ごさず、納得感を高めてから提出するようにしましょう。

入社承諾書とあわせて提出する主な書類

入社承諾書の提出時には、他にもいくつかの重要書類の提出を求められることが一般的です。

これらの書類は入社手続きに必要なものばかりなため、事前に準備しておくことで、スムーズな入社準備を進めることができます。

以下に主な提出書類とそのポイントを解説します。

身元保証書

身元保証書は、勤務状況や行動について保証人が責任を負うことを示す書類です。

一般的には両親や親族など、あなたとの関係が近い成人の方に保証人になってもらうことが多くなります。

保証人には法的な責任が発生する可能性もあるため、事前にしっかりと説明して同意を得ることが重要です。

たとえば、保証人になってもらう前に「万が一、会社に損害を与えた場合、保証人に賠償責任が生じる可能性がある」ことを伝え、その上で協力をお願いすることが誠実な対応です。

保証人の印鑑証明書が必要な場合もあるため、余裕をもって準備を依頼しましょう。

健康診断書

多くの企業では、入社前に健康診断書の提出を求めています。

これは従業員の健康管理と適切な配属を検討するために必要な書類です。

診断項目や受診可能な医療機関が指定されている場合もあるので、企業の指示に従って準備してください。

たとえば、大学の保健センターで受診できる場合もありますが、企業指定の項目をすべてカバーしているか確認が必要です。

診断書の有効期限にも注意して、期限内の最新の結果を提出できるようにしましょう。

卒業証明書

新卒入社の場合、卒業証明書や卒業見込証明書の提出が必要です。

候補者の学歴を証明する重要な書類であり、採用条件の確認にも使用されます。

具体的には、大学によっては証明書自動発行機で即日発行できる場合もありますが、繁忙期には混雑することもあるため、余裕をもって取得することをおすすめします。

また、卒業見込証明書から正式な卒業証明書への差し替えが必要な場合もあるため、企業の指示をよく確認し、適切なタイミングで対応することが大切です。

誓約書

誓約書は、会社の規則やポリシーを遵守することを約束する書類です。

機密情報の取り扱いや競業避止義務、SNSの利用方針など、企業によって内容は異なります。

たとえば、IT企業では情報セキュリティに関する厳格な誓約事項がある場合が多く、違反した場合の罰則規定も含まれていることがあります。

また、入社後のSNS利用についての規定や、副業に関する方針なども明記されている場合があります。

これらの内容は入社後の行動に直接関わるため、よく理解してから署名することが重要です。

年金手帳

社会保険の手続きのために、基礎年金番号がわかる書類（年金手帳や基礎年金番号通知書など）の提出が求められます。

初めて就職する場合は、入社後に会社を通じて新規取得することもできます。

たとえば、年金手帳をなくしてしまった場合は、年金事務所で再発行の手続きができますが、本人確認書類が必要で手続きに時間がかかる場合もあります。

また、住民票コードがわかる書類や、マイナンバーカード（または通知カード）の提出を求められる場合もあるため、これらの書類も併せて準備しておくと安心です。

入社承諾書に関するよくある疑問

就活生が入社承諾書について抱きやすい疑問について、実践的な視点からわかりやすく解説します。

これらの疑問に対する理解を深めることで、就活の最終段階において適切な判断ができるようになるでしょう。

入社承諾書を出さないとどうなる？

入社承諾書を提出期限までに出さないと、原則として内定を辞退したとみなされる可能性が高いです。

企業は採用計画を立てる上で、入社予定者を確定させる必要があるため、承諾書の提出は重要な手続きとなります。

たとえば、提出期限が迫っているのに何らかの事情で提出が遅れそうな場合は、必ず事前に企業の採用担当者に連絡して状況を説明し、対応について相談するべきです。

誠実なコミュニケーションを心がけることで、企業側も柔軟に対応してくれます。

入社承諾書を出してから辞退できる？

法的には入社承諾書を提出した後でも辞退は可能ですが、企業との信頼関係を大きく損なう行為になります。

やむを得ない事情がある場合は、できるだけ早く誠意をもって伝えることが重要です。

具体的には、入社承諾書提出後に辞退する場合は、電話で直接採用担当者に連絡し、その後改めて辞退理由を記した文書を提出するのが一般的です。

ただし、このような行為が業界内での評判に影響することもあるため、入社承諾書を提出する前に十分に検討するようにしてください。

入社承諾書は白封筒で送るべき？

入社承諾書は基本的に白い封筒で送ることが一般的です。

ビジネス文書としての基本的なマナーとして、白または淡いクリーム色の封筒が適しています。

たとえば、入社承諾書をA4サイズで作成した場合は、A4サイズの白封筒に入れて郵送するのが最も適切です。

折り目がつくと見栄えが悪くなるため、可能な限り折らずに送ることをおすすめします。

また、封筒の表面には「入社承諾書在中」と朱書きし、宛名は「人事部採用担当者様」など具体的に記載すると良いでしょう。

入社承諾書に添え状は必要？

入社承諾書に添え状をつけることは必須ではありませんが、丁寧な印象を与えるためにつけることをおすすめします。

特に郵送で提出する場合は、添え状をつけることでより丁寧な印象を与えられます。

たとえば「拝啓 貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。この度は内定をいただき、誠にありがとうございます。つきましては、入社承諾書を同封いたしましたので、ご確認いただけますと幸いです」といった書き出しで始め、最後に連絡先を記載するとよいでしょう。

添え状は入社承諾書の上に置き、一番上から読めるようにセットします。

入社承諾書提出後も就活を続けるのはあり？

入社承諾書を提出した後も、就活を続けることは倫理的に問題があります。

入社承諾書は法的な拘束力を持つ文書であり、企業との信頼関係の基盤となるからです。

たとえば、入社承諾書を提出した企業の社員が、あなたが他社の説明会や面接に参加しているところを目撃するケースもあり得ます。

入社承諾書を提出するということは、その企業で働く意思を固めたわけであり、他社の選考はすべて辞退するのが一般的です。

入社承諾書をとりあえず出した体験談

筆者は就活時代、ある上場企業から内定をもらいました。

その会社の採用担当者から、「できるだけ早く入社承諾書を提出してほしい」と言われ、書く準備をしていたのです。

しかし、その連絡が来る前に面接の予定があったので受けたところ、自分がやりたい仕事ができそうなのがわかりました。

当時は「とりあえず入社承諾書を出してから考えるか」とも思いましたが、友人に相談すると「それは駄目！」と言われてしまったのです。

友人曰く、「入社承諾書を出すと入社しなければいけないから、後から覆すことはできない」と。

内定をもらった会社はそこそこ大きかったので、不誠実な対応をすると将来困りそうです。

友人の指摘にハッとさせられ、慎重に考えることにしました。

結果的に、ベンチャー企業ながらもやりたい仕事ができる会社の方を選びましたが、「とりあえず」で入社承諾書を出さなくて良かったと思っています。

この経験から、入社先は慎重に判断する必要があり、納得してから入社承諾書を出すことの大切さを学びました。

まとめ

入社承諾書は就職活動の最終段階における重要な意思決定です。

入社日が決まったタイミングで提出し、企業からの提出期限を守るようにしてください。

「とりあえず出す」という判断は避け、期限を守りながらも自分の納得感を大切にすることが重要です。

提出する際は、敬語と丁寧な表現を使い、感謝の気持ちと入社後の意気込みをしっかり伝え、誤字脱字に注意しましょう。

また、身元保証書や健康診断書、卒業証明書など関連書類の準備も計画的に進める必要があります。

入社承諾書を出した後の辞退は避けるべきであり、提出する前に十分な検討が必要です。

就職活動の締めくくりとして、自信を持って提出できる状態になってから入社承諾書を提出することで、新社会人としての第一歩を踏み出せるでしょう。