退職日は、なるべく静かに職場を去りたいですよね。
上司や同僚に呼び止められても気まずいため、黙って帰りたい気持ちわかります。
できることなら、何事もなく退職を迎えたいですよね。
実は、退職時の挨拶や振る舞いを工夫することで、無難に退職することができます。
周囲との関係を円満に保つことができれば、退職後に気まずい思いをすることはありません。
そこで今回の記事では、「退職日に黙って帰る心理とリスク」を紹介するとともに、理想的な振る舞いとマナーについても解説します。
気持ちよく新しいスタートを切るためにも、振る舞い方を考えてみましょう。
- 退職日に黙って帰るリスクや後悔を避ける方法が分かる
- 円満退職に必要なマナーや振る舞いが理解できる
- 退職理由を伝える際の心構えと適切な対応法が学べる
退職日に黙って帰る心理
退職日に、周囲に黙ってその場を去るという選択をする人の背景には、さまざまな心理が働いています。
まずは、退職日に黙って帰る心理を見ていきましょう。
- 嫌いな人に挨拶したくない
- 面倒な別れを避けたい
- みんなの前で泣きたくない
- 引き止められたくない
- 消えるように去りたい
嫌いな人に挨拶したくない
退職日を迎えると、多くの人は別れの挨拶をします。
しかし、嫌いな相手がいる場合、その人に対して気まずさや不快感から挨拶を避けたいと考えることも多いです。
たとえば、日頃から自分を見下してきたり、冷たくあしらう同僚や上司に対し、退職日に挨拶をするのは心の負担となります。
嫌いな人への挨拶を避けたいという心理が、黙って退職したいという心理になるのです。
面倒な別れを避けたい
別れの挨拶をする工程が、面倒だと感じる場合もあります。
形式的な別れの挨拶が義務感に感じられ、避けたいと考えるからです。
たとえば、退職の挨拶で社内を一人ひとり回るのが煩わしいと感じる人もいます。
形式的な挨拶が負担に感じられ、静かに退職しようと考えるでしょう。
みんなの前で泣きたくない
同僚の前で涙を見せたくないという理由から、黙って退職を選ぶこともあります。
感情が揺さぶられる場面で涙を見せることを避けたいと考えるのは、感情をコントロールするうえで自然だからです。
仮にみんなの前で泣くと、後で何を言われるかわかりません。
他人に弱みを見せたくないという気持ちから、黙って退職したいと思うでしょう。
引き止められたくない
周囲から引き止められるのが嫌で、黙ってその場を去りたいと考える人もいます。
退職を決意したものの、最後に引き止められて気持ちが揺らぐのを避けたい、と考える人は少なくありません。
引き止めによる迷いを避けるために、周囲と関わりを持たずに退職しようとするのです。
たとえば、上司に別れを告げたときに「考え直さないか?」と言われると決意が鈍ってしまいます。
退職を後悔しないためにも、黙って退職したくなるでしょう。
消えるように去りたい
あえて誰にも挨拶をせずに去り、静かにその場から消えたいという思いから、黙って退職することもあります。
別れの場面を避け、誰にも知られず去ることで「気持ちのけじめ」をつけたいと思うからです。
例として、これまでの人間関係に区切りをつけたいと考え、誰にも知らせずに静かに職場を後にします。
誰にも気づかれずに静かに去りたいという思いから、黙って退職する行動の理由となるでしょう。
退職日に黙って帰るリスク
退職日を黙って去ることには、想定外のリスクが伴います。
円満な退職を目指すためにも、どのような影響があるか把握しておきましょう。
- 退職理由を誤解される
- 退職後の関係がぎくしゃくする
- 転職活動に悪影響が出る可能性
- 引き継ぎが不十分になりやすい
- 精神的な後悔や未練
退職理由を誤解される
黙って退職すると、周囲に退職の理由を誤解される可能性があります。
職場では不本意な憶測が生まれやすいため、噂好きの同僚に陰口を叩かれる場合があるからです。
たとえば、問題なく働いていたにもかかわらず、挨拶もなく去ると、周囲は「何か不満があったのだろう」と思い込んだりします。
退職理由を誤解されることで、辞めたのに嫌な思いをするでしょう。
退職後の関係がぎくしゃくする
退職時に黙って去ると、職場で築いた人間関係がぎくしゃくする可能性があります。
残された同僚は自分たちが軽視されたように感じ、関係が悪化することも少なくありません。
たとえば、退職後に同僚と偶然再会した際、気まずい雰囲気になることがあります。
こうした人間関係の問題は、後々まで尾を引くでしょう。
転職活動に悪影響が出る可能性
退職時に悪い印象を与えることで、転職活動に悪影響を及ぼす場合があります。
黙って退職することで、前職の評判が面接官や人事に伝わる可能性があり、不利になることもあるのです。
たとえば、転職先がバックグラウンドチェックをした場合、前職の同僚からあなたの悪評を聞かされるかもしれません。
転職活動に悪影響が出る可能性があることから、丁寧な退職を心がけることが重要です。
引き継ぎが不十分になりやすい
黙って退職することで、後任への引き継ぎが不十分になり、周囲に迷惑がかかる場合があります。
十分な引き継ぎをしないまま職場を離れると、業務が滞ったりミスが発生するかもしれません。
たとえば、自分が担当していた案件の進捗や手続きが明確に共有されず、後任者が混乱するケースが考えられます。
円満退職を目指すのであれば、引き継ぎを丁寧に行うことが必要です。
精神的な後悔や未練
黙って退職することは、一時的には楽かもしれませんが、後々になって「きちんと感謝を伝えればよかった」と後悔することが少なくありません。
心残りを抱えたまま退職すると、次のステップへの意欲にも影響を及ぼす場合があります。
具体的には、時間が経つほど「挨拶だけでもしておけばよかった」と感じ、退職後の気持ちが晴れずに後悔が積もりやすいです。
精神的な後悔や未練を抱えている状態だと、転職活動も上手くいかないでしょう。
退職日の理想的な振る舞いとマナー
退職日を迎えるにあたり、社会人としてのマナーを意識した行動が、円満な退職と良好な関係維持に大きく影響します。
気持ちよく職場を後にできるよう、理想的な振る舞いを心がけましょう。
- 感謝の気持ちを伝える
- 引き継ぎをしっかり行う
- 私物の整理整頓をする
- 必要な手続きを完了させる
- 最後まで責任感を持って働く
感謝の気持ちを伝える
退職日には、これまでの感謝を言葉にして伝えることが大切です。
上司や同僚に感謝を伝えることで、今後の関係が円滑になり、周囲から好意的に見てもらえます。
上司には直接「お世話になりました」と伝え、同僚にも「一緒に働けて嬉しかった」と声をかけることで、お互いの気持ちが深まります。
職場の仲間達に感謝を示すことで、円満な退職が実現できるでしょう。
引き継ぎをしっかり行う
退職前の引き継ぎは、職場の円滑な運営に欠かせない重要なステップです。
引き継ぎが不十分だと後任者が困るだけでなく、退職後も連絡が来る場合があります。
そのため、担当していた業務の進捗状況や関連資料を整理し、後任者がスムーズに業務を進められるようにしてください。
引き継ぎをしっかり行うことで、責任ある退職を果たすことができるでしょう。
私物の整理整頓をする
退職する際には、デスク周りの私物を整理整頓し、職場を清潔に保つこともマナーの一つです。
退職後に私物が残っていると、後任者に迷惑がかかり、印象が悪くなります。
具体的には、私物をきちんと持ち帰り、不要な書類は処分するなどして、机やロッカーを綺麗にしてください。
最後に整理整頓を行うことで、周囲への配慮を示し、良い印象を残すことができるでしょう。
必要な手続きを完了させる
退職手続きに必要な各種書類をきちんと完了させることは、円滑な退職に欠かせません。
必要な手続きを漏らすと、後から確認が必要になり、手間がかかるからです。
たとえば、健康保険の切り替え手続きや退職証明書の確認などを怠らないようにし、退職後の生活もスムーズに進められるように準備することが大切です。
必要な手続きを完了させることで、次のステップに安心して進むことができるでしょう。
最後まで責任感を持って働く
退職日まで、しっかりと責任を持って業務に取り組んでください。
最後まで手を抜かずに働くことで、周囲からの信頼が高まり、円満退職することができます。
具体的には、退職日であっても「もう辞めるから」と気を抜かず、業務をきちんと遂行し、必要であれば同僚をサポートする姿勢を示すことが大切です。
最後まで責任感を持って働くことで、自分も納得して職場を去ることができるでしょう。
辞める人は黙って辞める5つの理由
退職前に具体的な理由を伝えて辞める人もいれば、黙って辞める人もいます。
そこには、さまざまな心理的要因や事情が絡んでおり、一概に否定できない理由もあるのです。
ここからは、退職人が黙って辞める5つの理由を見ていきましょう。
- 人間関係に疲れた
- 退職理由を話したくない
- 職場に対する不満がある
- 無理に関わりたくない
- 面倒な手続きを避けたい
人間関係に疲れた
職場での人間関係に疲弊し、心身ともに負担を感じていると、誰にも知られずに退職したいと思います。
あらかじめ退職の話をすることで、余計な詮索をされる場合があるからです。
たとえば、上司や同僚とのトラブルが続き、長期間ストレスを抱えていた場合、退職時も関わりを避けるため、挨拶もなく静かに去ることを選びます。
人間関係に疲れた結果、黙って職場を去る選択をするのです。
退職理由を話したくない
退職理由が個人的な問題やデリケートな内容である場合、周囲に理由を話したくないと考える人も少なくありません。
退職理由を話さないことで、プライバシーを守りたいという心理が働きます。
具体的には、「家族の事情」や「メンタル面の問題」など、無理に話したくない理由があると、挨拶もせずに職場を去りたくなります。
退職理由を話したくないという気持ちが、黙って退職する理由になるのです。
職場に対する不満がある
職場への不満が大きい場合、その場から一刻も早く立ち去りたいと考えます。
特に不当な扱いや理不尽な労働環境への不満があると、その気持ちが黙って去る行動につながりやすいのです。
例として、長時間労働やパワハラを経験してきた場合、職場に対して感謝を示す気持ちも持てず、誰にも告げずに立ち去りたいと感じます。
職場への不満が原因となり、黙って辞めてしまうでしょう。
無理に関わりたくない
職場の人と無理に関わりたくないという理由から、黙って退職する人も多いです。
周囲に退職の挨拶をすることで、余計な干渉を受ける可能性があるからです。
たとえば、人間関係が嫌で会社を辞めるのに、送別会を開催されても困ります。
無理に関わりを持たないという選択が、静かに去る行動につながるのです。
面倒な手続きを避けたい
退職時の手続きや挨拶回りが面倒に感じるため、黙って退職することを選ぶ人もいます。
職場の同僚に退職を告げることで、面倒な手続きが発生する可能性があるためです。
仮に、前もって退職を伝えた結果、不要な仕事を依頼されるかもしれません
こうした面倒を避けたい気持ちが、黙って退職することにつながるのです。
退職日に黙って帰る際のよくある疑問
退職日の挨拶や礼儀に関する疑問は、誰もが一度は抱えるものです。
どこまで対応すべきか迷ったときは、基本的なマナーを押さえておくと安心です。
そこで、退職日に黙って帰る際のよくある疑問について回答します。
- 退職の挨拶回りはどこまでするべき?
- 退職の挨拶回りをしたくないは駄目?
- 退職の挨拶を無視されたらどうする?
- 最後の挨拶ができなかったら恨まれる?
- パワハラ上司には挨拶しなくてもいい?
- 退職時にお菓子を渡す必要はある?
- 退職日に何も貰えないのは普通?
退職の挨拶回りはどこまでするべき?
退職時の挨拶回りは、基本的に関わりのあった上司や同僚、近隣部署の人たちに行うのが一般的です。
直接のやり取りが少なかった人には、全体メールでの挨拶で簡潔に済ませるといった方法もあります。
たとえば、直属の上司やチームメンバーにはきちんとお礼を述べ、それ以外の方には一言挨拶をするだけでも十分です。
状況に応じた挨拶を心がけることで、スマートに職場を去ることができるでしょう。
退職の挨拶回りをしたくないは駄目?
退職の挨拶回りに抵抗がある人も多いですが、できる範囲で挨拶をするのが基本的な礼儀です。
どうしても挨拶ができない場合は、最小限の人にでもお礼を伝えると印象が良くなります。
また、全体メールで感謝の言葉を送るなどして、お礼の意を表す方法も一つの選択です。
形式にこだわらず、できる限り感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
退職の挨拶を無視されたらどうする?
退職の挨拶を無視されることもありますが、気にせずに挨拶を済ませるのが賢明です。
自分から誠意を持って対応することで、後悔なく職場を去ることができます。
たとえば、無視されても「今までお世話になりました」とだけ伝え、その場を離れることで自分の責任を果たせます。
相手の反応に関わらず、自分の行動に責任を持つことで、円満な退職を目指せるでしょう。
最後の挨拶ができなかったら恨まれる?
最後の挨拶をできないと、人によっては不快感を覚えます。
特に上司や先輩に挨拶しないことで、不愉快な思いをさせてしまうでしょう。
そのため、なるべく挨拶のタイミングを見計らい、ひと声かけるようにしてください。
長話をする必要はなく、「今までお世話になりました」と言うだけでも十分です。
どんな形であれ、最後との挨拶をすることができれば、恨まれたりしないでしょう。
最後の挨拶ができない状況もありますが、挨拶を欠いたからといって恨まれることは少ないです。
パワハラ上司には挨拶しなくてもいい?
パワハラを受けた相手に対しては、無理に挨拶する必要はありません。
もう会うことはないため、最後まで気を使う必要はないです。
ただし、無理なくできる範囲で職場全体へのお礼を伝えると、トラブルなく退職を完了できます。
たとえば、朝礼で全員に向けて挨拶すれば、直接対面するよりも気が楽です。
無理に個別対応せず、自身の気持ちに合った挨拶をしましょう。
退職時にお菓子を渡す必要はある?
退職時にお菓子を渡す習慣はありますが、必須ではありません。
感謝を伝える一つの方法ではありますが、負担に感じる場合は無理に用意する必要はないです。
長年お世話になった職場であれば、小さな菓子折りを用意するのも良いですが、なくても退職はできます。
退職時にお菓子を渡すかどうかは自分次第なため、冷静に考えて判断しましょう。
退職日に何も貰えないのは普通?
退職日に職場から何も贈り物がない場合もありますが、これはごく普通のことです。
特に小規模の職場や特別な慣習がない場合、贈り物がないのは一般的になります。
たとえば、退職者に寄せ書きやメッセージカードを贈る職場もありますが、何も貰えなくても気にする必要はありません。
過度に贈り物を期待せず、粛々と退職するようにしてください。
退職日に黙って帰った人の体験談
筆者は採用支援の仕事を通じて、さまざまな退職体験を聞く機会がありますが、ある男性からの話が印象に残っています。
その方は30代前半で、職場の人間関係が原因で、退職日に誰にも挨拶せずに帰ったと話していました。
彼が働いていた職場は、厳しい上下関係が色濃く、特に上司との軋轢が絶えなかったそうです。
退職を決意してからも、何度も「本当に辞めるべきか」と悩んだようで、同僚に相談しても「我慢して働くべきだ」と返され、孤立した気持ちが増していったといいます。
最終出社日も上司から冷たい言葉をかけられ、挨拶をする気持ちになれなかったそうです。
彼は「せめて、みんなには感謝の気持ちを伝えたかったけれど、気持ちが追いつかなかった」と話していました。
その後、転職活動をして新しい職場に無事再就職しましたが、今でも当時の職場の人たちに何も言わずに去ったことを少し後悔しているそうです。
この体験を聞いて、退職時に周囲へ感謝の意を示すことの大切さを再確認しました。
まとめ
退職日に黙って帰ることには、心理的な面やリスク、理想的な振る舞いなど、さまざまな要素があります。
退職時にしっかりと挨拶や引き継ぎを行うことで、退職後も職場との円満な関係を維持でき、自身のキャリアにも良い影響を与えることできます。
また、職場に感謝の気持ちを伝え、最後まで責任を持って働くことは、長期的に自分にとってプラスになる行動です。
退職理由を周囲に話したくない、人間関係に疲れたなど、黙って退職する理由も多いですが、感謝の気持ちを示すことで、未練を残さない退職が実現できます。
退職日の挨拶が煩わしいという気持ちもわかりますが、黙って帰るよりも挨拶をした方が気は楽です。
円満に退職し、前向きに次のステップへ進むためにも、なるべく退職の挨拶はするようにしてください。