人事部に異動する人は落ちこぼれ？言われる理由と栄転になるケース

人事部への異動は、不安でいっぱいですよね。

突然の辞令で「来月から人事部」と言われたら戸惑うし、「左遷されたのでは？」と思う気持ちわかります。

できることなら、ネガティブな感情は抱きたくないですよね。

実は、人事部への異動を正しく理解するだけで不安を大きく軽減できます。

あなたが人事部の役割や可能性を知れば、左遷だと思い込む必要はありません。

そこで今回は、「人事部に異動する人の特徴と栄転になるケース」をご紹介します。

人事部について知り、異動を前向きなチャンスに変えるようにしましょう。

人事部に異動する人の特徴

人事部への異動が決まった際、あなたの持つ資質が評価された可能性があります。

多くの企業では、特定のスキルや人間性を持つ人材を人事部門に配置する傾向にあります。

ここでは、人事部に異動する人によく見られる5つの特徴について詳しく解説していきます。

自分自身の強みを再確認し、新たな部署でのキャリアを前向きに考えるきっかけにしてください。

コミュニケーション力が高い

人事部に異動する人は、社内のさまざまな立場の人と円滑にコミュニケーションを取れる能力を持っていることが多いです。

なぜなら、人事部は経営層から新入社員まで、幅広い層との対話が必要な部署だからです。

たとえば、採用面接では応募者の緊張をほぐしながら本質を見抜く会話力が求められますし、従業員の悩み相談では共感的な姿勢で話を聞く必要があります。

社内の架け橋となるコミュニケーション能力は、人事部で活躍するための重要な資質です。

柔軟な対応力がある

人事部に配属される人は、予期せぬ事態にも臨機応変に対応できる柔軟性を持っていることがよくあります。

人事業務は日々変化する人間関係や制度の運用に関わるため、固定観念にとらわれない思考が必要だからです。

具体的には、急な退職者が出た際の採用計画の見直しや、働き方改革に伴う新制度の導入など、状況に応じて方針を調整する場面が頻繁に発生します。

環境の変化に柔軟に対応できる能力は、人事部門で高く評価される特性です。

正義感が強い

人事部に異動する人は、公平性や透明性を大切にする正義感の強さを持っていることが特徴です。

なぜなら、人事部は評価制度の運用や労務管理など、公正さが特に求められる業務を担当するからです。

例として、昇進・昇格の判断において、個人的な好き嫌いではなく客観的な基準で評価できる人材が人事部門では重宝されます。

組織の健全性を守るための正義感は、人事部での仕事において欠かせない価値観となります。

分析力がある

人事部に異動する人は、データを読み解き、そこから有益な洞察を導き出す分析力に長けていることが多いです。

人事部門では、採用効率や離職率、従業員満足度など、様々なデータを分析して人材戦略を立案する必要があるからです。

具体的には、社員アンケートの結果から職場環境の課題を特定したり、採用チャネルごとの定着率を比較して効果的な採用方法を見出したりする分析が求められます。

数字やデータから人の動きのパターンを読み取る分析力は、戦略的な人事業務を進める上で重要なスキルです。

ストレス耐性がある

人事部に異動する人は、プレッシャーの中でも冷静に判断できる高いストレス耐性を持っていることが特徴的です。

なぜなら、人事部は社員の待遇や処遇に関わる繊細な問題を扱い、時に厳しい決断や対応を迫られる場面が多いからです。

たとえば、リストラや降格の通達、ハラスメント問題の対応など、感情的になりやすい状況でも冷静さを保つことが求められる場面が少なくありません。

困難な状況でも感情をコントロールし、適切な判断ができるストレス耐性は、人事部で長く活躍するために必要な資質でしょう。

人事部に異動のネガティブな意味

「人事部への異動」と聞くと、ネガティブなイメージを持つ人も少なくありません。

組織によっては、人事部門が「左遷先」として認識されている場合もあるのが現実です。

このセクションでは、人事部への異動がマイナスに捉えられる代表的な理由について検証していきます。

しかし、これらは一般的な偏見であり、実際の真偽は組織や状況によって大きく異なることを覚えておきましょう。

仕事ができないから

人事部への異動は、現場や営業などの最前線で成果を出せなかった人が回される場所だという誤解が一部に存在します。

これは、人事部の仕事が数字で明確な成果が見えにくく、専門性が理解されにくいことから生まれた偏見です。

たとえば、営業成績が振るわない社員を「数字に追われない部署」として人事部に配置転換するケースを見たことがある人も多いかもしれません。

しかし実際には、人事部には独自の専門知識や高度なスキルが必要であり、「できない人の受け皿」という認識は正確ではありません。

世渡りが悪い

人事部へ異動させられる理由として、対人関係のトラブルや上司との不和など、「世渡りの悪さ」が原因ではないかと憶測されることがあります。

この見方は、人事部が直接的な利益を生み出す部門から離れているため、「問題のある社員を表舞台から下げる」場所だと誤解されることから生じています。

具体的には、クライアントとのやり取りで問題を起こした社員や、チーム内での人間関係に課題がある社員が人事部に異動されるケースが見られることがあります。

ただし、これは必ずしも事実ではなく、むしろコミュニケーション能力の高い人材が人事部門では重宝されることが多いのです。

スキルアップが見込めない

人事部への異動がネガティブに捉えられる理由として、専門的なスキルや市場価値の向上が難しいと思われていることが挙げられます。

これは、営業やエンジニアなどの職種と比較して、人事のスキルが外部市場で評価されにくいという認識から来ています。

例として、ITエンジニアが人事部に異動すると技術的なスキルが陳腐化し、将来的な転職市場での価値が下がるのではないかという不安を抱く人も少なくありません。

しかし、近年は人事アナリティクスなど専門性の高い人事職も増えており、必ずしもスキルアップができないわけではないです。

チームワークが取れない

人事部への異動が「チームワークが取れない人の受け皿」と見なされることがある点も、ネガティブなイメージの一因です。

人事部が比較的少人数で独立した業務を行うことが多いため、チームプレイが苦手な人を配置するという誤った認識から生まれています。

たとえば、プロジェクトチームで協調性に問題があった社員を、「一人で完結する業務が多い人事部門へ」と異動させるケースが実際にあるかもしれません。

ただし実際の人事部は、全社的な調整や各部門との連携が必須であり、むしろ高いコミュニケーション能力とチームワークが求められる部署です。

他の部署に空きがない

人事部への異動が組織の都合、特に「他に行き場がない」という消極的な理由によるものではないかと疑われることもあります。

組織再編や部署の統廃合などで余剰人員が生じた際に、人事部が受け皿になりやすいという見方からきています。

具体的には、事業撤退や縮小で行き場を失った社員の一時的な配置先として人事部門が選ばれる場合や、新卒で希望部署に配属できなかった社員の「仮配属」として人事部が使われるケースもあります。

しかし実際には、人事部は企業の中枢機能を担う重要な部門であり、単なる余剰人員の受け皿ではないことを認識すべきです。

人事部に異動したい人の理由

人事部への異動を積極的に希望する社員も少なくありません。

むしろキャリアアップの戦略として人事部門を選ぶケースも増えてきています。

ここでは、多くの企業で人事部への異動を自ら望む人の主な動機について説明します。

あなたの異動が実は新たなチャンスである可能性を考える参考にしてください。

人との関わりを増やしたい

人事部への異動を希望する人は、より多くの社員と関わりを持ちたいという意欲を持っていることがよくあります。

なぜなら、人事部は採用から退職まで、社員のキャリア全体に関わる部署であり、社内の多様な人材と接点を持つ機会が豊富だからです。

具体的には、採用面接で様々な経歴を持つ候補者と出会ったり、研修を通じて各部署の社員と交流したりと、人間関係の幅を大きく広げられる環境があります。

人との繋がりを大切にし、多様な価値観に触れたい人にとって、人事部は魅力的な選択肢となるでしょう。

キャリアの幅を広げたい

人事部への異動を希望する理由として、自分のキャリアに新たな専門性を加えたいという意欲が挙げられます。

人事部では労務、採用、教育、評価など幅広い業務に携わることができ、ビジネスパーソンとしての視野を広げられるからです。

たとえば、営業職からのキャリアチェンジとして人事部を選ぶことで、数字だけでなく「人」を軸にした思考や組織全体を見る視点を養うことができます。

専門性の掛け合わせで自分の市場価値を高めたい人にとって、人事経験は貴重な資産になるでしょう。

安定した業務に就きたい

人事部への異動希望者の中には、比較的安定したワークライフバランスを求める人も多く見られます。

営業やプロジェクト部門のような成果主義の強い部署と比較して、人事部では長期的な視点での業務が中心となるためです。

例として、子育てや介護などのライフイベントを迎えた社員が、急な出張や残業が少ない人事部門へ異動を希望するケースが増えています。

安定した環境で自分のライフスタイルを大切にしながら働きたい人にとって、人事部は魅力的な選択肢です。

人材育成に興味がある

人事部への異動を希望する人の多くは、人の成長や可能性を引き出すことに喜びを感じるタイプです。

人事部門では、研修プログラムの企画・運営や、キャリア面談など、社員の成長に直接関わる機会が多いからです。

具体的には、新入社員の成長を見守ったり、管理職研修で次世代リーダーの育成に携わったりと、人の変化や成長に立ち会える醍醐味があります。

他者の成長をサポートすることにやりがいを感じる人にとって、人事部は自分の価値観を仕事に活かせる場所となるでしょう。

マネジメントを学びたい

人事部へ異動したい理由として、将来的な経営幹部やマネージャーを目指すための学びの場として選ぶケースがあります。

人事部では組織全体の仕組みや経営戦略を理解する機会が多く、マネジメントスキルを体系的に学べるからです。

たとえば、評価制度の設計や運用に携わることで公平な評価の考え方を学んだり、採用計画の立案を通じて経営資源としての「人」の配置を考える経験ができます。

将来的に組織や人を動かす立場を目指す人にとって、人事部での経験は貴重な土台となるのです。

人事は落ちこぼれと言われるワケ

「人事部は落ちこぼれの集まり」という誤解が一部で根強く残っています。

この偏見は、人事部の仕事の性質や組織内での立ち位置に対する誤解から生まれたものです。

ここでは、なぜ人事部が時に低く評価されがちなのか、その背景にある理由を探っていきます。

こうした誤解を理解することで、人事部の本当の価値と可能性が見えてくるでしょう。

成果が見えづらい

人事部が「落ちこぼれの集まり」と誤解される最大の理由は、成果が数字として見えにくいことにあります。

営業部門の売上や製造部門の生産量と違い、人事部の貢献は「もし施策がなかったら」という仮定との比較でしか測れないことが多いからです。

具体的には、離職率の低下や従業員満足度の向上など、人事部の成果は目に見えない部分や長期的な効果として現れることが多く、短期的な評価が難しいものです。

適切な成果指標がないまま評価されることで、人事部の本当の価値が組織内で正当に認識されていない場合が多いでしょう。

クリエイティブな仕事が少ない

人事部がネガティブに見られる理由として、ルーティンワークが多く創造性を発揮する機会が限られているという印象があります。

給与計算や社会保険手続きなど、法令に則った定型業務が多いことから、チャレンジングな仕事が少ないと誤解されがちです。

たとえば、毎月の給与処理や年末調整、入退社手続きなど、決められたフォーマットに従って繰り返し行う作業が人事業務の大きな部分を占めていることは事実です。

しかし実際には、採用戦略の立案やエンゲージメント向上施策など、創造性を必要とする業務も多く含まれていることが見落とされています。

業務が単調に感じる

人事部の仕事が「落ちこぼれ向け」と誤解される背景には、業務内容が単調で刺激に欠けるという誤った認識があります。

人事業務の多くが年間スケジュールに沿って繰り返されることから生まれた偏見です。

具体的には、4月の新入社員受け入れ、夏の健康診断、冬の賞与計算、年度末の人事考課など、毎年同じタイミングで同様の業務が発生するパターンが見られます。

実際の人事部では、日々変化する労働環境や法改正への対応、突発的な人事案件の処理など、変化に富んだ対応力が求められる場面も多いのです。

他部署との交流が少ない

人事部が「社内から隔離された部署」という印象を持たれることで、積極的な人材が配属されない場所というイメージにつながっています。

特に管理部門として独立した業務を行う環境が、事業部門との距離感を生み出し、「本流から外れた場所」と見られる原因となっています。

例として、人事部は社内の特定フロアに集約されていたり、セキュリティの関係で入室制限があったりと、物理的にも隔離された環境にあることが少なくありません。

現代の人事部は、ビジネスパートナーとして各部署と密に連携する傾向が強まっており、この認識は徐々に変わりつつあります。

成果主義と相性が悪い

人事部が「落ちこぼれ」のイメージを持たれる理由の一つに、成果主義の企業文化との相性の悪さがあります。

人事部の価値は短期的な数値で測りにくく、「防止した問題」や「実現した組織風土」など、目に見えない成果が中心となるからです。

たとえば、優れたハラスメント防止策によってトラブルが減少しても「何も起きなかった」という結果になるため、その価値が適切に評価されにくいという現実があります。

成果が可視化しづらい人事部の仕事は、短期的な成果を重視する企業文化の中で正当に評価されにくい側面があるのです。

人事部に異動が栄転になるケース

人事部への異動は、実はキャリアアップの大きなチャンスになる可能性を秘めています。

特に近年は、ビジネス環境の変化に伴い、人材戦略の重要性が高まっています。

ここでは、人事部への異動が「栄転」と言える具体的なケースを紹介します。

あなたの異動が実はキャリアの飛躍のきっかけになるかもしれません。

マネジメントスキルが磨ける

人事部への異動は、組織全体を俯瞰して見るマネジメント力を養う絶好の機会となります。

なぜなら、人事部では各部門の人材配置や評価基準の設計など、組織運営の核心に関わる業務に携わるからです。

具体的には、人事評価制度の運用を通じて公平な評価の考え方を学んだり、採用計画の立案を通じて経営資源としての「人」の最適配置を考える経験ができます。

将来的に経営層を目指す人にとって、人事部での経験は組織マネジメントの基礎を固める貴重な機会となるでしょう。

組織改革や人事戦略を担う

人事部への異動が栄転となるケースとして、組織変革のプロジェクトや人事戦略の立案を任されるケースが挙げられます。

経営層が重要視する組織改革や人材戦略の実行役として、信頼できる人材を人事部に配置するからです。

たとえば、会社の成長フェーズに合わせた人材制度の刷新や、M&A後の組織統合など、経営戦略と直結する重要プロジェクトのリーダーとして抜擢されるケースがあります。

経営層の意向を汲み取りながら組織全体に影響を与える重要な役割を担うことで、自身のキャリア形成にも大きなプラスとなるでしょう。

専門性を活かして昇進する

人事部への異動が栄転となるのは、自身の専門性を人事領域で発揮することでキャリアアップにつながるケースです。

デジタル化が進む現代では、データ分析やIT知識を持つ人材が人事部で活躍する機会が急速に増えているからです。

例として、エンジニアとしての経験を活かしてHRテック導入を主導したり、マーケティング出身者がデータを活用した採用ブランディングを担当したりするなど、前職のスキルを人事分野で応用する道が開かれています。

自身の専門スキルと人事知識を掛け合わせることで、他の人事担当者にはない独自の価値を組織にもたらすことができるのです。

企業文化の変革を担う

人事部への異動が栄転と言えるのは、企業文化の変革推進役として重要な役割を任されるケースです。

経営者の右腕として、組織の価値観や行動規範の浸透に影響力を持つ立場に抜擢されることがあるからです。

具体的には、多様性推進のプロジェクトリーダーや、働き方改革の実行責任者として、全社的な文化変革の旗振り役を担うことがあります。

組織の根幹に関わる文化形成に携わることで、将来の経営幹部としての素養を身につける貴重な経験となるでしょう。

人事部門が強化される時期

人事部への異動が栄転となるタイミングとして、企業が人事機能の強化に本腰を入れている時期が挙げられます。

経営戦略上の重要課題として人材マネジメントが位置づけられ、人事部に優秀な人材と予算が投入される局面があるからです。

たとえば、急成長フェーズの企業が組織基盤を固めるために人事部を強化する時期や、事業再編に伴い人材戦略を見直す時期などは、人事部が注目される機会となります。

そのような「追い風」のタイミングでの人事部異動は、組織内での存在感を高め、キャリアを加速させる絶好のチャンスとなるのです。

人事部への異動に関する疑問

人事部への異動を告げられると、様々な不安や疑問が浮かぶことでしょう。

特に「左遷されたのでは？」という不安は多くの人が感じる率直な反応です。

このセクションでは、人事部への異動に関する一般的な疑問に答えていきます。

正しい情報を得ることで、あなたの新たなキャリアステージへの不安を解消しましょう。

人事部に異動は左遷された証拠？

人事部への異動が左遷だとは一概に言えず、むしろ多くの場合はあなたの能力を評価されての配置転換である可能性が高いです。

なぜなら、現代の企業経営において人事部門は「人材」という最も重要な経営資源を管理する重要なポジションだからです。

具体的には、コミュニケーション能力や問題解決力、分析力など、あなたが持つ能力が人事業務に活かせると判断されて抜擢された可能性があります。

人事部への異動は、あなたの新たな可能性を開くチャンスと捉え、前向きに受け止めることが大切です。

人事部は無能の集まりって本当？

人事部が「無能の集まり」というのは根拠のない偏見であり、実際には多様なスキルと専門知識を持つプロフェッショナルの集団です。

この誤解は、人事部の成果が数値化しにくく外部から見えづらいことや、人事の専門性が理解されていないことから生まれています。

たとえば、労働法規の知識、データ分析能力、カウンセリングスキルなど、人事部員は様々な専門性を持ち、組織の健全な運営を支えています。

人事部は企業の「縁の下の力持ち」として、目立たないながらも組織全体を支える重要な機能を果たしているのです。

優秀な人が人事部に配属される場合もある？

優秀な人材が人事部に配属されるケースは多く、特に将来の経営幹部候補が人事部を経験するというキャリアパスは珍しくありません。

経営者の視点を養うために、組織全体を俯瞰し人材戦略に携わる経験が重要視されているからです。

具体的には、グローバル企業では将来のCEO候補にCHRO（最高人事責任者）の経験を積ませることや、事業部長クラスを人事部長に抜擢するケースが増えています。

優秀な人材が人事のプロフェッショナルとして、またはキャリアの一環として人事部に配属されることは、現代のビジネス環境では一般的な流れとなっています。

人事異動は出世コースになる場合もある？

人事部での経験が出世コースになるケースは増えており、特に人材戦略が企業の競争力に直結する現代ではその傾向が強まっています。

人事部では組織全体を見渡す視点や多様な部門との協働経験を得られるため、将来の経営層に必要な素養を培えるからです。

例として、日本でも人事部長から取締役、執行役員へと昇進するケースや、CHROから社長へとキャリアを進める経営者も見られるようになりました。

人事経験を通じて培った「人」と「組織」への深い理解は、将来のリーダーシップ発揮に不可欠な要素として評価されることが多いのです。

人事異動の裏側はドロドロしている？

人事異動の裏側が常にドロドロしているという見方は極端であり、多くの企業では合理的な基準と手続きに基づいて行われています。

ただし、人材配置は企業の戦略や各部門の力関係が反映される側面もあるため、組織政治の影響を完全に否定することはできません。

たとえば、経営層の交代に伴う人事異動や、事業再編時の人材配置などでは、表には出ない駆け引きや調整が行われることもあるでしょう。

しかし多くの場合、人事異動は個人のスキルや適性、キャリア開発計画、組織のニーズなどを総合的に考慮した結果であり、陰謀論的に見る必要はありません。

人事部に異動した人に聞いた体験談

筆者は採用支援の仕事をしていて、様々な企業の人事担当者と関わる機会があります。

そこで出会ったTさん（30代男性）は、5年前に営業部から人事部へ異動になった方です。

「最初は正直ショックでした。売上目標を達成していたのに、なぜ人事？と。でも、部長から『人を見る目があるから』と言われたんです」と語ってくれました。

Tさんは異動後、採用面接を担当することになり、自分の営業経験を活かして候補者の本質を見抜く質問ができると評価されたそうです。

「今では人事のプロとして自信を持っています。以前は数字だけを追いかけていましたが、今は人の成長に関われる喜びがあります」

さらに、全社的な視点で経営を学べたことが大きな収穫だったと語ります。

「実は人事部での経験が評価され、来年から新設される海外拠点の立ち上げを任されることになりました。人事部は確かに私のキャリアの転機になりましたね」

このように、人事部に異動がマイナスではなく、むしろプラスに左右する場合もあるのです。

現代では人手不足倒産もある中で、人事部の重要性が高まっているといえるでしょう。

まとめ

人事部への異動は、左遷ではなくキャリアの新たな可能性を開く機会です。

コミュニケーション力や柔軟な対応力、分析力といった特性が評価されての配属かもしれません。

確かに「落ちこぼれの集まり」という誤解や、成果が見えづらい、クリエイティブな仕事が少ないといった偏見は存在します。

しかし、マネジメントスキルを磨き、組織改革や人事戦略を担う重要なポジションとして、キャリアアップにつながる可能性を秘めています。

人との関わりを増やしたい、キャリアの幅を広げたい、人材育成に興味があるといった前向きな理由で異動を希望する人も増えています。

優秀な人材が将来の経営幹部候補として人事部を経験するケースも少なくありません。

人事部への異動が単なる会社都合ではなく、あなたの可能性を見出された結果かもしれないことを忘れないでください。

人事部での経験を通じて得られる「人」と「組織」への理解は、どのようなキャリアを歩むにしても必ず役立つ貴重な財産となるでしょう。