内定をもらえらたうれしいですが、いつか取り消しにならないか心配ですよね。
内定取り消しなんて滅多にないと思うものの、何が起きるかわかりません。
できることなら、晴れやかな気持ちで卒業までの時間を過ごしたいですよね。
実は、内定取り消しへの不安は、正しい知識を得るだけで解消することができます。
内定取り消しの実態が明らかになれば、過度な心配をする必要はありません。
そこで今回は、「内定取り消しが滅多に起こらない理由と、取り消しになるケース」をご紹介します。
内定取り消しされないか不安になっている方は、ぜひ最後までお読みください。
- 内定取り消しが滅多にない理由がわかる
- 企業が内定取り消しを避ける具体的な理由を知る
- 内定取り消し時の実践的な対処法と法的な権利を学ぶ
内定取り消しが滅多にない理由
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就職活動で内定を獲得することは、企業と学生の双方にとって重要な意思決定です。
企業は慎重な選考プロセスを経て内定を出しており、その決定を覆すことは企業にとって大きなリスクとコストを伴います。
まずは、内定取り消しが滅多にない理由について解説します。
- 企業の採用プロセスが厳格
- 法的リスクが大きい
- 企業の信頼性を保つため
- 経済的な影響を避ける
- 求人市場の競争が激しい
企業の採用プロセスが厳格
就活生一人ひとりに対して、書類選考から面接まで複数回の選考を実施して内定を出しています。
これは、企業が採用における厳格な審査基準と専門的な評価システムを確立しているためです。
たとえば、大手企業では人事部門だけでなく、配属予定の部署の管理職も面接に加わり、複数の視点から候補者を評価します。
内定を出す段階で候補者の適性は十分に見極められているため、取り消しする必要がないのです。
法的リスクが大きい
内定は法的に保護された権利として認められており、企業が正当な理由なく取り消すことはできません。
これは、法律で内定に対して、労働契約の始期付き解約権留保付労働契約と位置付けられているためです。
具体的には、内定取り消しを行った企業が損害賠償を命じられたり、社会的な批判にさらされたりするケースが発生します。
法的な責任を問われるリスクが大きいため、企業は内定取り消しを極力避けようとするのです。
企業の信頼性を保つため
採用活動は企業の評判や信頼性に直接影響を与える重要な活動として位置づけられています。
しかし、内定取り消しを行うことで、企業の採用ブランドや社会的評価が大きく損なわれる可能性が高くなるのです。
たとえば、就活生の間で内定取り消しを行った企業として認識されると、翌年以降の採用活動にも深刻な影響を及ぼすことになります。
採用ブランドを守るため、企業は内定取り消しを避ける傾向にあるのです。
経済的な影響を避ける
内定取り消しは企業にとって大きな経済的損失をもたらす可能性が高いです。
採用活動にかかった費用が無駄になるだけでなく、代替となる人材の採用コストも新たに発生するためです。
具体的には、新卒採用では一人あたり数十万円の採用コストがかかるとされ、内定取り消しはこれらの投資を無駄にすることを意味します。
採用コストの観点からも、企業は安易な内定取り消しを行わないでしょう。
求人市場の競争が激しい
現在の労働市場では、優秀な人材の確保をめぐって企業間の競争が非常に激しくなっています。
少子高齢化による労働人口の減少や、デジタル人材などの専門性の高い人材へのニーズが高まっているためです。
たとえば、内定者の約8割が複数の内定を保有しており、企業は確保した人材を大切にする必要に迫られています。
人材獲得競争が激化している状況下では、企業が安易に内定取り消しを行うことは考えにくいです。
転職で内定取り消しになるケース
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転職における内定取り消しは、新卒採用と比べてより具体的な理由で発生する可能性があります。
職務経験や保有スキル、前職での実績など、より多くの確認事項が存在するためです。
ただし、これらの問題の多くは事前の準備と適切な対応で防ぐことが可能であり、実際の発生率は極めて低い状況です。
- 前職の退職手続きに問題があった
- 健康状態に重大な問題が見つかった
- 嘘の経歴や情報が発覚した
- 企業の経営状況が急激に悪化した
- 入社前に態度に問題があった
前職の退職手続きに問題があった
前職での退職手続きが適切に行われていない場合、新しい職場での内定が取り消されるリスクが発生します。
これは、前職との契約上のトラブルが新しい雇用関係に悪影響を及ぼす可能性があるためです。
たとえば、競業避止義務に違反している場合や、引き継ぎを完了せずに退職した場合などは、新しい企業から信頼を失う原因となります。
前職での退職は必ず適切な手続きを踏んで行うことが重要です。
健康状態に重大な問題が見つかった
入社前の健康診断で深刻な健康上の問題が発見された場合、内定が取り消されることがあります。
業務遂行に支障をきたす可能性のある重大な疾病や、法定の就業制限に該当する症状が見つかった場合です。
具体的には、危険を伴う作業が必要な職種で重度の視覚障害が見つかった場合や、深夜業務が必須の職種で重度の睡眠障害が判明した場合などが該当します。
採用時の健康状態に関する申告は、正直に行う必要があるでしょう。
嘘の経歴や情報が発覚した
履歴書や職務経歴書に記載した内容に虚偽が発覚した場合、即座に内定が取り消される場合があります。
虚偽の情報提供は信頼関係を著しく損なう行為であり、労働契約を継続する意思が失われるためです。
具体的には、保有資格の偽装や、実際より長い職務経験の申告、前職での役職の水増しなどが該当する行為となります。
嘘の経歴や情報が発覚した場合、内定取り消しになりやすいでしょう
企業の経営状況が急激に悪化した
企業の経営状況が予期せず悪化し、人員計画の見直しが必要になった場合に内定取り消しが発生します。
急激な業績悪化や事業環境の変化により、新規採用の余力が失われてしまうためです。
たとえば、主要取引先の倒産や予期せぬ災害の発生、業界全体の急激な市況悪化などが原因となって採用計画を見直さざるを得なくなります。
このような状況は極めて稀なケースですが、完全には避けられないリスクとして認識しておく必要があるでしょう。
入社前に態度に問題があった
内定から入社までの期間に、社会人としての適切な態度や振る舞いができていない場合、内定が取り消されることがあります。
これは、内定者の言動が企業の価値観や規範と著しく異なることが判明したためです。
たとえば、内定者懇親会での不適切な言動や、SNSでの会社批判、守秘義務違反などが該当する行為として挙げられます。
内定者としての自覚を持ち、責任ある行動を心がけることが大切です。
内定取り消しされたときの対処法
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内定取り消しは深刻な事態ですが、冷静に状況を見極めて適切な対応を取ることが重要です。
感情的になることは避け、まずは事実関係を整理し、自分の立場を守るための行動を順序立てて実行していくことで、多くの場合は適切な解決策を見出すことができます。
- 取り消し理由を確認する
- 法的権利を調べる
- 企業と交渉を試みる
- 精神的なケアを行う
- 転職活動を再開する
取り消し理由を確認する
内定取り消しの通知を受けた際は、まず企業から正確な理由の説明を受ける必要があります。
取り消しの正当性を判断し、今後の対応を検討するための重要な情報となるためです。
たとえば、企業に対して書面での理由説明を求め、具体的な経緯や判断基準について詳細な説明を受けることが推奨されます。
企業からの説明内容は必ず記録として残しておくべきです。
法的権利を調べる
内定取り消しに関する法的な権利と保護について、正確な情報を収集することが重要です。
内定取り消しが労働法規上の重要な問題であり、適切な法的保護を受けられる可能性が高いです。
具体的には、労働基準監督署や法律相談窓口、就職支援機関などに相談し、自分の状況に適用される法的権利について確認します。
相談内容や得られた情報は、必ず文書で記録に残してください。
企業と交渉を試みる
内定取り消しの撤回や代替案の提示について、企業側と冷静な交渉を行うことが有効です。
多くの企業が内定取り消しによる法的リスクを懸念しており、話し合いによる解決を望んでいるためです。
たとえば、配属先の変更や入社時期の調整、研修期間の延長など、代替となる選択肢について提案を行います。
交渉は必ず記録を取りながら、建設的な態度で進めていく必要があるでしょう。
精神的なケアを行う
内定取り消しによる精神的なショックや不安に対して、適切なケアを行うことが重要です。
過度のストレスや不安があると、次のステップに向けた行動の妨げになるからです。
たとえば、家族や友人に状況を打ち明けて相談したり、専門のカウンセラーに相談したりすることで、心理的な負担を軽減できます。
一人で抱え込まず、周囲のサポートを積極的に活用することが大切です。
転職活動を再開する
内定取り消しへの対応と並行して、新たな就職先の探索を開始することが賢明です。
早期に次の選択肢を確保することで、精神的な安定や経済的な不安の解消につながるためです。
具体的には、以前の就職活動で接点のあった企業に状況を説明して検討を依頼したり、転職エージェントに相談したりすることから始めます。
焦らず着実に、自分に合った企業を探していくことが重要でしょう。
内定取り消しの不安を払拭する方法
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内定取り消しへの不安は多くの就活生が抱える共通の悩みです。
しかし、適切な行動と心構えによって大きく軽減することができます。
重要なのは、不安を抱えたまま放置せず、具体的なアクションを起こすことです。
そこで、内定取り消しの不安を払拭する方法を紹介します。
- 自分の実力を信じる
- 企業とコミュニケーションを取る
- 内定者としての責任を果たす
- 求人市場の動向を理解する
- 信頼できる人に相談する
自分の実力を信じる
内定を獲得したということは、その企業があなたの価値を認めたという明確な証です。
あなたが持つスキルや経験、人間性が企業の求める水準を十分に満たしているためです。
たとえば、多くの競争率の高い選考プロセスを勝ち抜いてきた実績や、面接官から高い評価を得た経験を思い出してみましょう。
自信を持って内定者としての生活を送ることが大切です。
企業とコミュニケーションを取る
内定者フォローの機会を積極的に活用し、企業との良好な関係を築くことが重要です。
定期的なコミュニケーションを通じて信頼関係を構築し、相互理解を深めることができます。
たとえば、内定者向けイベントには必ず参加し、配属予定の部署の情報を収集したり、先輩社員と積極的に交流したりします。
企業との接点を増やすことで、不安は自然と解消されていくでしょう。
内定者としての責任を果たす
内定を承諾した後は、内定者として求められる役割や義務をしっかりと果たしていく必要があります。
内定者研修や提出物などの要件を確実にクリアすることで、企業からの信頼を高めることができるためです。
具体的には、各種書類の提出期限を守り、内定者課題に真摯に取り組み、連絡事項には迅速に対応するなどの行動が含まれます。
与えられた責任を着実に果たすことで、自信と安心感が生まれるでしょう。
求人市場の動向を理解する
現在の就職市場や企業の採用動向について、正確な情報を収集することが有効です。
採用を取り巻く環境を理解することで、内定取り消しのリスクを客観的に評価できるようになるためです。
たとえば、就職情報サイトやニュース、企業の採用担当者の発言などから、採用に関する最新の傾向や統計データを確認します。
採用市場の実態を知ることで、過度な不安を抱く必要がないと理解できるでしょう。
信頼できる人に相談する
内定取り消しへの不安を一人で抱え込まず、周囲の信頼できる人々に相談することが大切です。
経験者の助言を得ることで、より客観的な視点から状況を見つめ直すことができるためです。
たとえば、就職活動を経験した先輩や大学のキャリアセンター、家族や友人など、身近な相談相手に不安な気持ちを打ち明けてみてください。
周囲のサポートを得ることで、心理的な負担は大きく軽減されるでしょう。
内定取り消しに関するよくある疑問
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内定取り消しについて、就活生の間で様々な疑問や不安の声が上がっています。
しかし、その多くは誤解や不正確な情報に基づくものです。
ここでは、内定取り消しに関する代表的な疑問について、具体的なデータや事例を基に解説していきます。
- 内定取り消しは何割くらいある?
- 内定取り消しになるほどの嘘とは?
- 内定取り消しで訴えることはできる?
- 内々定が取り消しされる場合も多い?
- 内定取り消し企業一覧を知ることはできる?
内定取り消しは何割くらいある?
明確な割合は発表されていないものの、実際の取り消し数は極めて少ない状況です。
これは、厚生労働省や文部科学省が毎年発表している、就職統計データからも明らかになっています。
出典:令和6年3月新卒者内定取消し等の状況を公表します|厚生労働省
たとえば、リーマンショックのような深刻な経済危機時でも、内定取り消しの割合は2%程度に留まっているのです。
統計的に見ても、内定取り消しは非常に稀なケースと言えるでしょう。
内定取り消しになるほどの嘘とは?
内定取り消しの対象となる虚偽申告は、業務遂行に直接影響を与える重大な事実の隠蔽や偽装です。
単なる履歴書の記載ミスや軽微な誤記とは明確に区別されており、故意に重要な事実を偽った場合に該当するためです。
たとえば、実務経験の完全な捏造や、必須資格の偽装、重大な前科の隠蔽などが該当します。
日常的な経歴の表現の揺れや軽微な誤記については、内定取り消しの対象とはなりません。
内定取り消しで訴えることはできる?
内定取り消しに正当な理由がない場合、法的手段を通じて企業に損害賠償を請求することが可能です。
内定が労働契約の一種として法的に保護されており、不当な取り消しは違法行為となるためです。
たとえば、裁判所に仮処分を申し立てて内定取り消しの効力を争ったり、金銭的な補償を求めたりすることができます。
労働組合や法律の専門家に相談することで、適切な法的対応が可能です。
内々定が取り消しされる場合も多い?
内々定の取り消しは内定取り消し以上に発生率が低く、ほとんど見られない事例です。
内々定が採用の内定通知に向けた準備段階であり、企業側も慎重に選考を行っているためです。
具体的には、内々定から内定までの期間に重大な問題が発覚した場合や、企業の経営状況が急激に悪化した場合などに限られます。
内々定を得た段階で、基本的に採用は確実だと考えて問題ありません。
内定取り消し企業一覧を知ることはできる?
厚生労働省や労働局が内定取り消しを行った企業の情報を収集・管理していますが、一般への公開は限定的です。
これは、企業の社会的信用に関わる情報であり、慎重な取り扱いが必要とされているためです。
たとえば、報道機関による報道や、就職情報サイトでの情報共有など、一部の情報は公になることがあります。
ただし、内定取り消しを行う企業は極めて少数であり、過度に懸念する必要はないでしょう。
内定取り消しされた人に聞いた体験談

筆者は採用支援や人材ビジネスの仕事に携わって10年以上になりますが、内定取り消しされたケースは稀です。
ただ、全くないわけではなく、稀な状況ながらも取り消し経験のある人に話を聞く機会がありました。
その中でも特に印象に残っているのは、大手メーカーから内定取り消しを受けた新卒の方の事例です。
その方は、企業の突然の業績悪化により内定取り消しを通告されました。
最初は大きなショックを受けたそうですが、すぐに大学に相談したそうです。
企業側と粘り強く交渉を行い、最終的にはグループ会社への採用切り替えという形で解決することができました。
この経験を聞いて学んだのは、決して途方に暮れる必要はないということです。
実際、筆者が話を聞いた内定取り消しのケースのほとんどが、最終的には良い形で解決しています。
企業側も安易な内定取り消しは避けたいと考えており、代替案を提示してくれることが多いのです。
大切なのは、不安を感じたときに一人で抱え込まず、周囲に相談することです。
もし、あなたが内定取り消しで悩んでいるのであれば、家族や友人、学校などに相談するようにしてください。
冷静な対応を続けることができれば、必ず道は開けます。
まとめ
内定取り消しは、企業にとって法的リスクが高く、採用コストの無駄にもなるため、極めて稀なケースといえます。
実際のデータでも、内定取り消しの発生率は0.1%程度と非常に低い水準にとどまっています。
企業は厳格な採用プロセスを経て内定を出しており、人材獲得競争が激化する中で、確保した人材を大切にする傾向が強まっています。
また、万が一の内定取り消しに対しても、法的な保護や救済措置が整備されており、就活生の権利は守られています。
内定取り消しへの不安がある場合は、企業とのコミュニケーションを積極的に図り、内定者としての責任を着実に果たすことで、信頼関係を築いていくことが大切です。
同時に、自分の実力を信じ、周囲のサポートを活用することで、心理的な不安も解消できます。
内定は、あなたの価値を企業が認めた証です。
これまでの努力が実を結んだことを誇りに思い、社会人としての第一歩を踏み出していきましょう。